自覚症状の出にくい歯周病は早期発見・早期治療が重要です

歯周病の怖さ

重症になるまで症状が現れにくい

歯周病の怖いところは初期には症状がほとんどないことです。症状を自覚した時にはかなり進行した状態となり、周りの歯に炎症が及んでいるケースが多いです。
子供はならない、若いうちは歯周病にならないということもありません。成人の半数以上が予備軍もしくは歯周病ですので、早期発見、早期治療、定期的な歯石除去が肝要です。

『私は歯医者に行かなくても大丈夫』そんなあなたが一番危険です

歯周病菌のすみかとなる歯石。これは歯の表面の歯垢(プラーク)に唾液中のカルシウムなどが沈着して形成されます。歯磨きをしっかりしている場合でも唾液は口の中に必ずたまるため、歯石の沈着は絶対に避けられません。
歯周病のしっかりとした予防には3~4か月に1回、少なくとも半年に一回は歯石の除去が必要となります。年間単位で検診や歯石取りをしていない場合、歯周病の進行は起こっていると考えていいでしょう。

歯周病の進行と症状

①健康な状態
歯は歯ぐきの中の骨に支えられて埋まっています。この状態では歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)は浅く、ブラッシングで清掃が可能です。健康な歯ぐきはピンク色、引き締まった形をしています。

②歯石が歯ぐきの表面にたまった状態
炎症は歯ぐきのみに現れており、支えの骨は影響が出ていない状態です。自覚症状はあまりありませんが、注意すると歯ぐきの充血(赤黒い)やブラッシング時の出血が確認できる場合もあります。口臭もでてきます。

③支えの骨が溶けてきている状態
歯石を放置すると歯周ポケット内部まで歯石が及び、支えの骨を溶かしていきます。初期症状は②とあまり変わりません。歯のぐらつき、歯ぐきの腫れ、出血、歯ぐきの痩せを自覚したころには症状が進行している事が多いです。口臭は自身ではなく他人が感じることが多いため注意が必要です。

④支えの骨がなくなってきた状態
歯のぐらつきや痛みが強く、歯を抜かざるを得ない状態です。強い口臭も生じます。放置が続くと隣りの歯にも影響してくる事があります。

歯周病の治療と流れ

①歯周病検査

歯周病は前述したように初期は見た目ではわからないため、レントゲン検査や歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを器具で計測して検査します。歯周病では支えの骨が下がったり、歯ぐきが腫れるため、ポケットの深さが大きくなります。検査時の出血や膿が出るかどうかの確認も炎症の程度の判定に重要です。

②歯ぐき表面の歯石の除去(スケーリング)

歯周病菌のすみかである歯石は歯ブラシでは取れません。超音波の機器でこれを除去します。
軽度の歯周病や定期健診時の少量の歯石付着の場合はこれだけで治療が終わります。

③歯周ポケット深部の歯石の除去(SRP)

中等度以上の歯周病で行います。深部に及んだ歯石やプラークは目視できないため、手探りで一本一本丁寧に除去する必要があります。痛みが苦手な方や、炎症が強く痛みが出る場合は必要に応じて麻酔を用います。

④歯周外科処置

重度の歯周病で、除去しにくい位置に付着した歯石や、硬くなりすぎた歯石は外科的に歯ぐきを切開して直接的な除去が必要となります。病巣をしっかりと目視し確実に歯石や炎症組織を除去していきます。一定の条件が整えば、歯周外科と骨を再生させる材料(エムドゲイン、リグロスなど)を用いることで骨の再生が望めます。

歯周病と全身
歯周病と全身の関わり
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歯周病と妊娠

妊婦さんはホルモンバランスの乱れや生活習慣の乱れなどで歯周病が悪化しやすいです。また、歯周病菌が血中に入って胎盤を通り、胎児に感染してしまうと、早産や低体重出産の可能性が高くなります。危険性はアルコールやタバコ、高齢出産より高く約7倍と報告されています。
マタニティ検診も行っておりますので、安定期である妊娠中期(5~7か月)での検診をお勧めしております。

歯周病と糖尿病

歯周病と糖尿病は非常に密接な疾患として知られています。
歯周病が重症化している方ほど血糖コントロールが悪化しやすく、糖尿病が重症の方ほど歯周病も悪化しやすい傾向にあると報告されています。糖尿病の治療に際し、歯周病の治療は非常に重要となります。

歯周病と動脈硬化

歯周病菌が動脈硬化を引き起こす原因の一つとして挙げられています。歯周病菌が血管へ入る刺激により動脈硬化を引き起こす物質が出てしまいます。心臓疾患・血液疾患のリスクを下げるためにも歯周病の治療は必要となります。

歯周組織再生療法

歯周病により溶けてしまった骨は、通常は二度と戻ってきませんが、医療の進歩により歯周外科手術の際に併用することで骨の再生を促す材料が複数開発されており、治療結果を残してきています(リグロス ・エムドゲインなど)。また、リグロスという薬剤は保険治療で認可されております。治療の適応には一定条件が整っていることが必要ですが、非常に有効な治療となります。処置のためには診断や前処置が必要ですので、一度ご相談ください。